【うまく弾けちゃうアドバイス】 メルマガ・バックナンバー 09年7月14日

『毎日ピアノ5分』のすすめ ~上達の鍵は短く継続~

 


今日のメルマガ執筆者



佐川鮎子  サックス&ピアノ レッスン教室』 佐川 [東京都荒川区]


きょうは、わたくし、佐川が解説いたします!

どうぞよろしく。



ここに、2つのピアノ練習方法があります。

・1週間に1度まとめて2時間みっちりの練習。
・もうひとつは、毎日5分の練習。


さて、・・・

どちらが上達するとおもいますか?


そう、「毎日5分」のほうですね。


感覚的、経験的に、言い当てた方は多いとおもいます。
それと同時に、

「改めて考えると、なぜそれが効果あるのか、理由がはっきりいえない。」

「わかっちゃいるけど、毎日5分は意外と難しい。」

そのように感じる方も、けっこう多いのではないでしょうか。


それにしても、『毎日5分』

使い古された身近な言葉ですが、ひきつけようとしても離れていく。そんな近くて遠い、古くて新しい言葉であるがゆえに、ちょっと新鮮さに欠け、到達できない無力感をおぼえる。そう感じて、しらけてしまった人もいるかもしれません。

できるものなら、なんとかコイツ(=『毎日5分』)を手なずけてやりたい!そうおもって少しイライラするような、まじめな方もいらっしゃるはず。

これから、そういった疑問や悩みに対して、わたしなりの答えと解決法をお話したいとおもいます。そして、ピアノの練習にとって『毎日5分』がとっても大切なんだってことを、お伝えできればとおいます。


かんがえてみれば、ピアノの練習は、スポーツの練習とよく似ています。
どちらも、筋肉の反復運動だからです。

たとえば、テニス。
サーブ、レシーブ、ストロークにしろ、できるだけ毎日反復練習をする。そのうち、意識せずとも最適なフォームやラケットを振るタイミングを、体全体で覚えてしまう。

そうすると、目で捉えたボールや相手の動きに対して、自然に体が反応して動くようになります。

この次の動作はこれで、その次の動作は、こうやって・・・
などと、いちいち頭で考えてプレーする必要がなくなるのです。

もしあなたが小中学校のクラブなどでスポーツをされたのなら、きっと体験済みでしょう。
たえず反復練習をしていたら、いつの間にか身についちゃった。
そういう経験を、すでにお持ちだとおもいます。


では、こんど、スポーツの反復練習を、1週間に1度程度にしてみたらどうでしょう?
きっと、効果は薄くなるしょうね。その程度では、いわゆる「勘」が鈍ってしまう。

とくに、初心者のうちは、1週間に1度程度では、ものすごく進み方が遅くなるはずです。
たとえ、その1回にたっぷり2時間猛練習したとしても。


スポーツなどの「勘が鈍る」という現象について、東大の大学院教授らによる研究成果があります。

・マウスの細胞実験で、シナプスの信号伝達を1日以上止める操作をする。
・その後、神経細胞の働きを調べると、細胞内のBDNFというたんぱく質の働きが鈍り、さらに信号伝達物質そのものが放出されにくくなることが分かった。
※ 出所:朝日 (5/25/2006、夕刊)

脳からの信号伝達物質が、体の筋肉に送られなくなる。
これは、なにを意味するのでしょうか。

そうです、目など知覚で捉えたものに対して、体が反応できなくなる。

テニスでいうと、飛んできたボールに対して、ラケットでレシーブやストロークがうまくできなくなる。


今ここでは、スポーツの練習と効果についてお話してきましたが、ピアノの練習と効果についても、これと同じなんです。

目から受け取る楽譜情報や耳でとらえる音に対して、即座に、そして思ったとおりのかんじで指が鍵盤をおさえないといけない。

そのために、指の反復練習をする。
5分でもいいので、できるだけ毎日練習をおこなう。

そうやって、脳からの信号伝達物質が、指の筋肉にしっかり伝わる状態をキープしてあげる。

科学の知見によれば、このように説明ができそうです。


昨年(2008年)6月、わたしの教室へピアノを習いにやってきた大人の生徒さんがいます。
30代、男性会社員のAさん。

当初、Aさんはピアノも持っていない状態で、楽譜の読み方から教えてほしいといらっしゃいました。

本人が数週間後にピアノを購入。音符の読み方や指の番号を教えました。

レッスン日は休日でした。レッスン前に頑張って何時間か練習し、それからレッスンに来ていたようで、その頃は「手が痛い」「肩がこる」と、よく言っていました。

ぎりぎりまで練習してくるため、レッスンでは集中力もちょっとかけてしまっている状態。
その日のレッスンまでに前回の課題を何とかしたいという思いから、力んだ状態で詰め込んで練習していたのでしょう。

そこでわたしは、

「1週間に1度まとめて練習するよりも5分でよいので、毎日時間をとることはできますか?」


そう話したところ、やってみますとのことでした。


その後・・・

「先生に言われたとおり毎日数分でもやるようにしたら、体も気持ちも楽になりました。」


Aさんの言葉でした。


そのとき、この方法は、やはり効果があると確信しました。

ご本人いわく、

「数分間で出来ることはわずかかもしれませんが、最終的に一気に練習したときよりもずっと正確に弾けるようになったんです。」

ご本人だけでなく、わたしもそう思いました。

もちろん、大曲をやるには、5分は短い時間かもしれません。
でも、この社会人のAさんは初心者で、毎日触って感覚を養うことが主な目標。だから、これで十分なのです。

発表会前や、もっと弾きたいという日は、もちろん!ガンガン弾いてください。弾くに越したことはありませんよ。

5分は、あくまで毎日ピアノにふれるための目安です。


…さて、といっても、大人も子供も毎日忙しいこのご時世。

このたった5分を、1日のどこにつくろうかと悩まれるかもしれません。


そこで、わたしからおすすめの方法!


すでに習慣になっていることの『あいだ』に、ピアノの練習を取り込むのです。

たとえば、夕飯を食べて、一旦テレビなどをみてぼーっとしてからお風呂に入るという生活パターンの方。

その方は、夕飯を食べてお風呂に入るまでの間に練習する、と決めます。

食器をさげるために席を立って片付けたら、そのままピアノへ向かう。そのような習慣づけを自分でしてしまうのです。5分程度ピアノを弾いたら、そのまますぐお風呂へ。

とまあ、こんなかんじで気楽にやってみる。


『毎日ピアノ5分』ができない理由には、いろいろあるとはおもいます。

たんなる、サボり。あるいは、子供の習い事や会社などの時間的制約といった事情、などなど。

小さいお子さんは遊びを優先するときもあるでしょう。でも、帰ってきたら5分は触ろうねと約束させるよう、わたしはお母さんにお話したりしています。

大人でお勤めをなさっている方は、仕事の都合で帰宅が遅かったり朝が早かったり、まとまった時間の確保が難しいケースが多々あります。

そんな中、漠然と「毎日練習するぞ」と決めたところで、続けられないことが多い。
でも、5分だったらなんとかなる範囲なのでは?と思い、おすすめしています。


ここまで『毎日ピアノ5分』について、つらつらお話してきましたが、けっきょく。

お箸の使い方といっしょで、小さい子もそれを毎日使うことでだんだん慣れていく感覚と同じ、と感じます。

たまにしかふれないようでは、お箸もピアノも感覚をおもいだすのに時間がかかってしまう。そして、その分がロスになってしまうんです。


『毎日ピアノ5分』で、きっと自然にピアノに向かえるようになるでしょう。

「さあやるぞぉ!」と、気合いを入れてピアノを弾く。
それもいいでしょう。

でも、長く続けるためには、まず自然な流れを大切にします。

この5分間でなにができるか。

そう考えたとき、自分で自然に練習計画をたてられるようになっているはずです。

自分で練習計画を立てられるようになるのは、この先とっても重要なことなんです。

『毎日ピアノ5分』

とくに、ピアノ初心者の子供さんや大人の方には、とても大切です。

ピアノを上達させたいなら、さっそく今日から実践!
習慣にしてみましょう。

大人の方『毎日ピアノ5分』練習イメージ。お風呂前の練習。

出演は、わたしの弟です(笑)







佐川鮎子  サックス&ピアノ レッスン教室』 佐川 [東京都荒川区]





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