デキる生徒さんにヒアリングした効果的なピアノ練習方法 :お子さん編

いつも忙しい中、練習時間のやりくりを上手につける一部の生徒と、そうでない多数の生徒がいます。いわゆる、一部のデキる生徒さんは、いったい何が違うのでしょうか?それについて、ピアノ講師さんが実際に生徒からヒアリングをしました。今回は、子ども編です。



デキる生徒さんにヒアリングした効果的なピアノ練習方法 :お子さん編





今回のメルマガ執筆者 16年1月



エムジック音楽教室  宇野智子 [千葉県市川市]






ヒアリング結果を小中高生別にモデルケースでご紹介


 スポーツクラブや塾、バレエなどなど‥‥‥ピアノの他に習い事を複数かけもちしているお子さんは少なくないと思います。レッスン枠のその時間に集中して取り組む水泳やテニスなどと違い、音楽を習うには「おさらい」が欠かせません。

「忙しいから辞めます」という生徒さんもいれば、一体いつ練習する時間をつくっているのかしら?と不思議になるくらい多忙なのに、楽しそうにレッスンを続けるお子さんもいらっしゃいます。彼らがピアノに向かうことができる時間管理術はどのようなものなのでしょうか?

生徒さんにヒアリングをした結果を、小中高生別にモデルケースでご紹介します。

※個人情報保護のため、ヒアリングした内容を再構成し、仮名にてご紹介しています。


【複数の習い事との両立は『正確性』で勝負】幸田さんのケース

~幸田さん: 小学生。習い事はピアノとスイミングと英語クラブ。学童保育を利用しているため、帰宅が遅い。 ~

 学童を利用していると、必然的に家にいる時間が少なくなります。そのため、幸田さんのようなケースでは、宿題にする曲数を絞って、一曲一曲に集中して取り組めるようにレッスンを工夫することにしています。併せて、正確で早い譜読みを身につけられるよう、初見の訓練を取り入れました。素早く正しい音を読めるようになると、週3回程度の練習でも、生徒さん本人が上達を実感できるくらい充実したレッスンが可能になります。

幸田さん自身もピアノを弾く時間を作りたくて、宿題を学童にいる間に全部終わらせるなどの工夫をしているようです。思うように弾けないとふてくされることがあった幸田さんですが、楽譜の読み間違いが減ってくるにつれ、楽しく前向きにピアノに向かうようになりました。

 同じようなお子さんがいらっしゃる親御さんは、宿題の曲数が多いようなら先生に相談するなどし、練習が負担にならないくらいに調整していただくのもよいかもしれません。また、練習している曲を親御さんに聴いてもらうのが嬉しい、と言う声もききます。たくさん習い事に行ったり学童保育を利用していると、親御さんと触れ合う時間が少なくなりがちなので、ご家庭でのピアノ練習をお子さんとのスキンシップに充てるのも素敵なことだと思います。いつもでなくても、たまに「聴いているよ」という意思表示をするだけで、お子さんの承認欲求は満たされます。



【部活中心の生活には『エア譜読み』】五十嵐さんのケース

~五十嵐さん: 中学生。所属している吹奏楽部は地元で評価が高く、練習が厳しいことでも有名。普段の部活は休めない。~

 吹奏楽は、体育会系と同じように、あるいはそれ以上に拘束時間が長く、体力的にもエネルギーが必要な部活です。そのため、平日は家に帰ってきてもなかなかピアノに向かうことができません。でも音楽が好きなので、練習せずにレッスンに行くのは本人もつらいのです。

五十嵐さんのような生徒さんにおすすめするのは、「楽譜を眺めること」です。日本の住宅事情ですと、夜間はピアノが弾きづらいですが、楽譜を眺めることは騒音になりません。眠る前の10分間や、ポータブルゲームをする合間などに、取り組んでいる曲の楽譜を眺めて運指(指使い)や強弱、スラーによるフレージングなどを頭に入れることで、弾かずとも曲への理解が深まります。

「時間がない時は楽譜を見るだけでも勉強になる」、これは私の大学時代の恩師もおっしゃっていたことで、CDやYoutubeで音源を聴きながら眺めるとさらに効果が高まります。机の上で自然と指が動いてしまうことも多いので、私はひそかに「エア譜読み」と呼んでいます。



【試験勉強とピアノが『お互いに気分転換』の関係】三木くんのケース

~三木くん: 高校生。通学に片道1時間半ほどかかる。進学校なので毎日の予習復習にもたくさんの時間が必要。~

 大人顔負けの難曲にバリバリ取り組む高校生の生徒さんもいらっしゃいますが、三木くんのような生徒さんのレッスンは「のんびり無理せず楽しむ」ことに重きをおいています。基本的には学校生活で手一杯なので、普段のレッスンは、レッスン中に譜読みや指使いの確認をすることも珍しくありません。時には「先週から一度も楽譜を開いていません」なんていうことも(ひえー)‥‥‥。

ですが、三木くんの長所は一度聞いたことを忘れないことです。作品を書いた作曲家が活躍した時代のことや、曲想についてのあれこれ、フレーズの取り方など、解説した内容は次のレッスンまできちんと覚えていてくれます。練習する時間はなくても、レッスンの40分間は集中しているので、話がすべて頭に入っているのです。なので、少しずつ少しずつではありますが、曲の完成に向けてレッスンを進めることができます。

ご本人曰く、短縮時間割になる試験中にピアノを弾くのがテスト期間中の唯一の?楽しみだそう。「勉強しないでピアノばかり弾いています」と言いますが、成績や普段の話を聞いている限り、自分なりにきちんとスケジュールを組んで勉強に取り組んでいる様子がうかがえます。彼の中では、勉強とピアノのおさらいがお互いに気分転換となっていているのでしょう。気持ちを切り替えながら効果的に脳をリフレッシュさせているようです。

 おうちで見守る親御さんは、試験期間中に、のんきな顔をしてピアノをポロンポロンと弾いているのを見るのはヤキモキしてたまらないかもしれません。ですが、指を動かすことは脳を活性化することにも通じていますから、少しの間は「勉強しなさい!」の言葉をぐっとこらえて、見守っていただければと思います。



集中して物事に取り組める『デキる子』になるためのまとめ

 未就学児~小学一年生のお子さんの場合、ご家庭でのサポートは大変重要です。朝の10分間や、夕ご飯を食べる前の時間など、具体的にピアノに取り組む時間を決めたご家庭は、おおむね自宅練習がうまくいっているようです。「練習するのは(ママ/パパ/先生)とのお約束」で、それが守れたらまず「練習したこと」をほめるようにすると、次第に練習という行為に対してポジティブなイメージが形成されます。

ピアノを弾くことは意外に体力を使うので、体調がよくない時やたくさん遊んで疲れた日には無理に練習させない方が、かえって集中して練習するようになるという報告もあります。なかなか自分からピアノに向かわないからといって常にガミガミ「練習しなさい!」と小言を言い続けると、ピアノや努力することに対してネガティブなイメージがついてしまいます。練習が習慣づけられるまでは、あくまで練習しないことを怒るのではなく、「練習するお約束」を守らなかったことに対して叱るように心がけていただければと思います。怒るのをこらえてじっとお子さんを待つのは大変なことだと、重々承知はしておりますが‥‥‥!

 今回挙げたケースは、実際に受け持った生徒さんの中でも、特に忙しそうだと感じた生徒さんたちのスケジュールを年齢ごとに再構成したものです。
自宅練習の時間を効果的にとることで、上達ぐあいは格段に変わってきますが、何より大切なことがひとつあります。ここに挙げた生徒さんはみな、親御さんや講師である私に、練習を強制されていません。うまく弾けないいらだちはあっても、ピアノに対するストレスや、負の感情がないこと、それが何より大切なことだと思います。

 後編では、大学生、社会人、主婦、定年をむかえた方の練習方法をご紹介します。


エムジック音楽教室  宇野智子 [千葉県市川市]



 






【教室紹介】


エムジック音楽教室  [千葉県市川市]] のご案内



初めまして、宇野智子と申します。

 日本大学芸術学部音楽学科に入学し、学生時代は写真学科や映画学科など、クリエイティブな友人と切磋琢磨して勉強いたしました。大学院は博士課程を道半ばで中退。当時はすったもんだがありましたが、挫折の分だけ、音楽の美しさや奥深さ、学ぶことの素晴らしさを改めて知ることができたように思います。

 ピアノを教えるだけでなく、ライターとしても活動、『それぞれに合わせた適切な言葉で適切な指導を』が最近掲げている目標です。

 オンラインレッスンのほか、音大受験に関してのご相談、レポートや小論文の指導も受けつけております。


エムジック音楽教室 宇野智子










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