Q&A: 動画のピアノ演奏は、参考にしても良い?

ピアノを習っているお子さんやそのご父母、そして大人のピアノ学習者の方には、ピアノ・レッスンやピアノ教室に対して疑問や悩みが少なからずあります。当サイト登録のピアノ教室運営者、ピアノ講師が、その疑問、悩みに答えてくれます。

18年3月







Q: 動画のピアノ演奏は、参考にしても良い?



Youtubeなどの動画投稿サイトをつかって、プロアマ問わず自身のピアノ演奏を多くの奏者が公開しています。そういった他者の演奏を、学習中の生徒自身が自分の演奏の参考にすることについて、良いとおもいますか、それとも良くないとおもいますか?もし良くないのであればその理由を、もし良いのであれば、どういう点に注意して活用すればよいでしょうか?

ピアノ教室.net編集部より



A:ピアノの先生の回答  (先生のそれぞれの立場とタイプから回答)

フクロウ・タイプ
(学問的、または知恵ある意見を述べたい先生の立場からの意見)
ウサギ・タイプ
(楽しい雰囲気を大切にする先生からの意見)
ネコ・タイプ
(独自の意見を言いたい先生の立場からの意見)

ウシ・タイプ
(目標に向かって地道な努力が大切と考える先生の立場からの意見)
犬・タイプ
(真面目で親しみやすい先生からの意見)
クマ・タイプ
母性的、甘えさせてくれそうな先生の立場からの意見
シマウマ・タイプ
(優雅さと優美さをもって指導したいと考える先生の意見)
キリン・タイプ
のんびりした先生からの意見
馬・タイプ
活動的で、パワーを与えてくれそうな先生からの意見
羊・タイプ
平和的でおとなしめの先生の意見
ライオン・タイプ
権威的、きびしい先生の立場からの意見
  その他・タイプ (その他の考え方とタイプの先生)







フクロウ・タイプ

(学問的、または知恵ある意見を述べたい先生の立場からの意見



ユーチューブの演奏はとても参考になります。
たとえば生徒が弾きたいと思う曲があったとき、すぐユーチューブの演奏を参考にしてくれていますので本当に手軽で助かります。

以前はわざわざテープやCDを用意して聴かせなければなりませんでした。その手間が省け、それが瞬時にできてしまうのです。

しかしその際、気を付けたいのはその曲について良い演奏か不適切な演奏をしているかの聴き分けのできる耳を持っていることでしょう。

たとえば同じ曲目を複数のプロピアニストが演奏しているとします。そんな時その曲の解釈がちゃんとできた上での演奏表現をしているかを聴き届ける耳が必要なことです。最後には自分の感性に訴えて選べるか、にかかっています。

ましてや幼い子供の演奏や、未熟者のたどたどしい演奏はあまり参考にしないように指導することも忘れないようにしたいものです。

 

廣岡ピアノ教室

 




近年のテクノロジーの発達には、目を見張るものがありますね。

以前は、演奏会場に行くことなしには聴けなかった演奏を、今では自宅にいながら視聴することが出来るのですから、便利な時代になったものです。

私が子どもの頃は、両親が買ったレコード(LP/SP)の演奏を私が聴くことについて、当時教わっていた先生は否定的でした。「個性がなくなる。」「自分の解釈が出来なくなる。」ということが、その理由でした。

音源や動画から学ぶことに難色を示す先生は、今でも多いと思います。

しかし、「演奏会に足を運ぶ」「他人の演奏を聴く」ということについては、時代を問わず、どの先生も推奨なさっていますから、そこには、「生演奏と録音(録画)との間に、何らかの線引きがなされている。」と考えることが出来ます。

「生演奏」が、「時間の芸術」(音楽)を再現するもの―即ち、その場所と時間だけに与えられる恩恵として、演奏者と聴衆が共有することの出来る限定的なものであるのに対し、「録音(録画)」は、「再生」という「本来の音楽」が持っていない機能を付加的に備えたものとなっています。

質問の中にあった「学習者がこういった動画を参考にすること」についての賛否は、「再生の頻度」や「バランス」といったことに左右されると思います。

同じ曲であっても、演奏者によって、テンポの設定、構成、使用楽器、年齢による解釈の違いなど多様ですので、そういったことに対する認識が不十分な学習中の生徒さんが、特定の演奏を繰り返し聴くと、偏った演奏になってしまうことがあります。

最近、「オンラインレッスンと従来型レッスンのどちらが良いか」といった議論を耳にすることがありますが、「動画サイトを参考にすることの是非」に対する問いは、当に、その中間に位置するものです。

まず、オンラインレッスンのメリットは、「自発的に学べる」ということです。先生の都合に合わせなくても、自分の好きな時間にネットを使って勉強出来るのです。また、その時間に関しては、レッスン料がかかるということもありません。

デメリットは、「生徒さんが主観でとらえたものを、客観的に軌道修正してくれる指導者がいない」ということです。「他人の演奏から学ぶ」と一口に言っても、それが師事している先生のものである場合や、同門下生のものであれば、そこに「相互性」というものが生れますから、コミュニケーションの中で音楽を聴くことが出来ます。しかし、動画から学ぶ場合には、それがないということを、充分に認識しておく必要がありますね。

これは、ピアノ教育に限ったことではなく、テクノロジー全般に共通して言えることです。

私は、生徒たちが動画サイトに投稿された演奏を視聴することには、どちらかというと賛成しています。

しかし、レッスンであまりに極端な演奏をするようになったら、その生徒さんがアクセスしたサイトのURLをお聞きして、「その演奏から得られると期待できる面」と、「参考にするにあたって注意すべき点」を、個別にアドヴァイスさせて頂いております。

いずれにしても、現代の私たちは、情報に囲まれて生きていますから、ピアノの学習にそれらを積極的に生かしてゆくことは有益だと思います。

同時に、配信される内容を取捨選択するだけの判断力を、生徒の皆さまが身に着けることが出来るよう、従来型の個人レッスンの中で、正しい知識を得て頂くようお手伝いすることも、また重要だと考えております。

埼玉県  ウィステリア・ピアノクラス


 



ウサギ・タイプ

(楽しい雰囲気を大切にする先生からの意見)




芸術は理数系と違い様々な考え方や表現があって当然でしょう。
こんな奏法もあるのか、こんな風に弾いてもいいのか、と色々な情報を得ることは間違いではないと思います。
かつてはそういう情報を知る手だては今ほど豊富ではなかった
為に教師の言う事が絶対だったが、今はそうではないのが現実。
教師もアンテナを張り巡らせ過去の自分の知識の範囲で安心していてはいけないという事を忘れてはならない。




大人の生徒さんだと動機の一つで動画投稿サイトで演奏していた方を見てしたいと思ったと言ってたり弾きたい曲があると言って投稿サイトを見せて頂いたりしています。その際動画投稿サイトはこのような動機つけのみにするのであれば大人の生徒さんはタブレットなどで用意される事が多いので見せて頂いて楽譜を講師が用意するという流れにしたら使用しても良いと思います。大人の生徒さんはおそらく練習の際にも見るかもしれませんがレッスンでは講師演奏を活用して頂けたら良いと思いますので…。

こどもの生徒さんにはこのような事はありませんがこどもの生徒さんへ演奏の参考にするのであれば講師の演奏、もしくはセット教材に付いてるCDを活用した方が良いと思います。




こんにちは。you-piano教室の吉橋です。
インターネットが一般的になっているので動画サイトなどでの演奏動画を観ることも可能な環境があるのは利用していくと良いと思います。

道具は色々新しくなっていきますが、使い方に気を付けてうまく活用していくのは悪いことではないと思います。
日本では昭和だった1960から90年代と平成30年で異なることもたくさんあるので、私たち親世代が子供だったころの感覚の延長にないこともたくさんあります。

昔はレコードが音源の代表格で他になく、ひたすら色々聴いたのですが録音状態が明瞭でないものも多く、足りないことは聴く人が想像して補っていたと思います。
1980年代にデジタル録音が普及して一見、綺麗に聞こえるので完璧な音源に聞こえますが、これもまた足りない要素はあるので足りないことを伝えてくれるピアノの先生が必要です。

動画も何が良いのか?を10, 20色々聴きながら参考にしていけます。同じ曲でも日本人だけではないアジア人の演奏、ヨーロッパの学生の演奏やお楽しみコンサートでの演奏など参考にする分母を増やせば常識と思いきや違うかな?ということもあることに気がつくかもしれません。
スポーツでもフォームの確認や自分の動作感覚を端から見たらどう写っているのか外見の確認に利用したり、ゲーム展開の復習に使っているのが現代です。

ピアノを弾くときに自分での感覚と、こうしたほうが楽に弾けるよ?という意味の確認に利用できたりもしますね。動作を色々聴いて、さらに自分の弾いている状態をビデオで録画して再生、確認することも使えます。


You-piano教室

 




私は演奏動画を参考にするのは良いことだと思います。
その際に注意すべきと思うことは、

1、他の方の演奏をあくまで「参考」にし、自分の演奏と比較しないこと

2、「自分がよいと思う『自分の演奏』をする」ことの大切さを忘れずに他の方の演奏を聴くこと

の2点だと思います。

1、については、特にお子様の学習者様の場合注意すべきことだと思います。お子様は同じ年頃の方の演奏を聴いて、ついつい自分と比較してしまいやすいと思いますが、お一人お一人ピアノの学習歴が違うので、比較するのは意味のないことだと思います。

2、は1の意見の補完ですが、その人の「心」は世界に一つしかないのですから、「心を語る」ものである「その人の演奏」も世界に一つだけのものだと言えると思います。どんなにお小さなお子様の技術的には簡単な演奏でも、そこに「音楽を楽しみ愛する」そのお子様の心がこもっているのなら、それはまさに世界に一つだけの大変価値のある演奏だと思います。このことを忘れずに他の方の演奏を聴けば、「比較」することなく、他の方の演奏の「良いところ」が自然に耳に入り、自分の演奏にも生かしていけるのではないでしょうか?その意味でYou tubeは宝の宝庫なので、著名なピアニストの演奏などどんどん聴いてみるのは大変良いことだと思います。

 

トモピアノ教室

 





ネコ・タイプ

(独自の意見を言いたい先生の立場からの意見)





 


ウシ・タイプ

(目標に向かって地道な努力が大切と考える先生の立場からの意見)






犬・タイプ

(真面目で親しみやすい先生からの意見)


You tubeなどの動画投稿サイトを観る事に対して…どういう曲か?をプロの人がアップロードしているものを参考にするには良いと思いますが、アマチュアの人のアップロードしている演奏は  何度も繰り返して聴く事や、その演奏の速さや音楽的な解釈を真似するような事は避けて貰いたく思っております。悪い影響を与えてしまうようで躊躇します。ですので、生徒達には最初の譜読み段階で、あまり動画を観ないようにと言っております。



こんにちは。

YouTube演奏を参考にしたくなりますよね。練習中の曲の作曲家や時代背景などを調べる事も、この頃は便利になりました。

私は、YouTube動画参考は、「譜読みを自分なりに頑張ってから見ましょう!」という立場です。楽譜とまず向き合いましょう。大まかにでも、ゆっくりででも、片手づつの音出しでもOKなので、まず楽譜と向き合ってほしいと思っています。

譜読みを全くしないで、YouTube動画にいきなり頼ってしまうのは、音楽作りが人任せになりかねないかも…

ご自分である程度努力してから数種類の動画を聴き比べると、多くの発見かある事でしょう。

春海音楽教室 主宰:高間はるみ

 

 




大いに参考にしていただきたいと思います。
本当に世界中のいろんな演奏が見られます。そして、いろんな感想を持ってほしいです。
この演奏が格好いい、これはないでしょ。。この解釈は斬新!等々。
ひとつの投稿だけで納得せず、(間違っているものもたくさんありますので。)いろんなものを見て聞いて刺激を受けてほしいと思います。





クマ・タイプ

(母性的、甘えさせてくれそうな先生の立場からの意見)



やみくもに動画を見てただ真似したのでは良くないかもしれません。でも、どんな曲か知りたかったり、 上手いなあと思う人の演奏を聴くこと自体は悪い事ではないと思います。動画を見ることが悪いわけではなく、反映のされ方次第というところでしょうか。きちんと指導してくださる方がいるのでしたら問題ないと思います。動画を見ることで意欲を掻き立てられる事もありますね。

やまもとピアノ教室 山本理紗




 


シマウマ・タイプ

(優雅さと優美さをもって指導したいと考える先生の意見)






キリン・タイプ

(のんびりした先生からの意見)





馬・タイプ

(活動的で、パワーを与えてくれそうな先生からの意見)



基本的には参考にしても良いと思っています。生徒さん達も良く聴いているようです。
しかし、譜読みをする前から聴いて覚えるくらい聴くことはオススメしません。それは音を読まず、丸覚えするからです。
しかも、自分の音楽、というものがなくなります。

ある程度、譜読みをし、その上で聴くことが良いと思います。しかも、複数の演奏を聴く。一人の演奏だけを聴き続けると丸写しになる危険性もあると思います。

この人はこんな解釈、この人はこんな…というように、様々な演奏を聴くことが、生徒さんにとっても、色々なことを考える良い経験になると思います。





羊・タイプ

(平和的でおとなしめの先生の意見)




ライオン・タイプ

( 権威的、きびしい先生の立場からの意見)





その他・タイプ (その他の考え方とタイプの先生)



私は生徒さんと新しい曲を決める時に
譜面があれば弾いてみせて、
その上でYouTubeの動画を一緒にみる時があります。
おおざっぱに「どんな曲かな?」のイメージを持ってもらうことは良いと思っています。
同時に「必ず複数の演奏を見て下さい」と言っています。

ひとつの動画のみを継続的に聴くのは、
熱狂的にその演奏者のファンである愛好家なら楽しんでいただいて結構ですが
学習者の方が「こういう曲か~」と先入観を持ってしまうと世界が狭くなってしまいます。
また、特に出来る生徒さんの場合、良くも悪くも演奏者の癖まで身につけてしまいます。

いくつか聴いていただくと、
「この奏者はこういう点が良い・悪い」
「そういう解釈もあるね」など議論もできて有意義かと思います。

便利なツールが増えてきましたが、使い方次第ですね。

わたなべピアノ・ソルフェージュ教室 渡部昌美




参考にしても構いませんが、真似しないで!

動画は、その曲の全体像をつかむのには手っ取り早く良いのです。
ただ、解釈や演奏法は一人一人違います。
あくまで参考までに見ていただき、自分が気に入ったところ、違うように弾きたいところ、それぞれ考えていただけるなら有益です!