Q&A: 幼児、子供がピアノコンクールに参加するとき、どう目標設定を?
19年8月
Q: 幼児、子供がピアノコンクールにチャレンジするとき、どのように目標を設定をしていくのがよいですか?
幼児、子供がピアノコンクールに参加するときには、各々のピアノ教室の方針、お子さんのレベルや気持ち、ご両親の考え方、会場の聴衆の受け取り方など、様々な利害関係者のことを想定する必要があると思います。そのような中で、どのように目標、ゴールを設定していくのがよいと思われるでしょうか?ご自身の教室で今行っている方法について、あるいは一般論でのそれについてでも構いませんので、具体的にお聞かせください。よろしくお願いします。
ピアノ教室.net編集部からの質問
A:ピアノの先生の回答
(先生のそれぞれの立場とタイプから回答)
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フクロウ・タイプ (学問的、または知恵ある意見を述べたい先生の立場からの意見 |
コンクールの結果の順位だけを気にするのではなく、自分の長所と短所がわかることで次に何をすれば良いかが分かる。
他の子供の演奏を聴くことにもなるので、それが刺激となってまた新たな目標を作ることができる。
課題曲、自由曲等を弾くことで自分にどんな曲があっているのかわかる。
コンクールが子供にとってあまりにも辛いことであるならば、発表会の方が拍手がもらえて、励ましももらえて、やりがいのあることかもしれない。
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ウサギ・タイプ (楽しい雰囲気を大切にする先生からの意見) |
私は、子供さんがコンクールを受ける場合は、「結果は関係なく、コンクールへ向けての『努力』そのもの目標とし、その「努力」をこれからのピアノ上達の糧にするために受けるのだと話すのが良いと考えます。そしてそれを子供さんに、子供さんでもわかる言葉でていねいに説明することが大切です。もちろんコンクールを子供さんに受けさせる以上、教師として最大限の努力をして、コンクールに「通して」さしあげることは大変重要です。その最大限の努力をした上で、お子さんには、「コンクールを受ける努力そのものが今後の糧になるから受ける」と話すべきだと思います。理由は以下の2点です。
1、本番で実力を出せないこともあるから
子供さんといえども、コンクールに向けて長い時間をかけて練習しますから、いやがうえにも本番へ向けて緊張が高まります。本番に強いお子さんもいれば、普段の半分ほども実力を出せずに終わってしまうお子さんもいます。これはそのお子さんの性格や個性、その時の状況などによるものですから、実力が出せなくても決して責めるようなことがあってはならないと思います。そのためにも、コンクールを受けると決めた時点から、結果は関係なく、コンクールへ向けての努力そのものが、その後どれほどそのお子さんの宝となるかのかを、周りの大人である教師や親御さんが「くどいほど」言って聞かせて差し上げるべきだと思います。
2、審査員の先生によって「いい演奏」の基準は驚くほど違うから
以前あるコンクールの審査員をした先生から、「すごくいいと思ったお子さんがいたのに、まわりの先生の賛同を得られず、大変悔しかった」との話を聞いたことがあります。この手の話は、あのショパンコンクールでさえ聞こえてきます。
ですから、ひとつのコンクールでいい結果が得られなくても、決してがっかりすることはないのです。そのお子さんの演奏を評価して下さった審査員の先生がいらっしゃる可能性は充分あり得ますから。だからこそ、「コンクールへの『努力』そのものを目標とする」姿勢が非常に大切だと私は考えます。
オンラインピアノレッスン
トモピアノ教室
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ネコ・タイプ (独自の意見を言いたい先生の立場からの意見) |
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ウシ・タイプ (目標に向かって地道な努力が大切と考える先生の立場からの意見) |
こんにちは。岡本裕美です。
大阪府藤井寺市でピアノ教室を主宰しています。
私自身が幼少時にコンクールを受けずに育ったので、生徒のコンクール参加には消極的ではありますが、その子の資質をみて「受けさせたほうが伸びる」と思う生徒には受けるよう勧めています。
幼児や子どもが受けるコンクールは課題曲もそう背伸びさせないものが多く、一つの作品をきちんと仕上げ、響きの良い空間&ピアノで聴衆の前で演奏し、第三者(審査員)に評価をしてもらう、というのは普段のレッスンでは得難い体験だと考えます。
ただ、発表会とは違い「結果」というものが付きものなので、本人も親御さんもそれを気にするあまり、「ピアノを習うこと」の本質を見失う危険性もあり・・・・
演奏が終わったあとのフォロー及びコンクールに参加したことで成長したこと、を本人・保護者・先生の3者でしっかり確認できればいいですね。
やはりコンクールでは技術、表現力がともに試される場でもあります。
発表会と違って、いやでも順位がはっきりしますので、中途半端な気持ちではなく、きちんと責任を持ってコンクールに取り組むぞという気持ちを再確認することが大切だと思います。
親の意向で出場を決めたとしても、本人のやる気がなければ絶対に結果は出ません。
しっかりとした意思を確認したうえで、3.4ヶ月まえを目処に練習に取り組むようにします。
きっと途中で中だるみの時期がくると思いますので、練習カードいうものを使います。
練習カードでは、毎日練習するたびにシールをはれるというもの。
練習に毎日取り組む姿勢が大切です。
また、褒めることも大切にしたいです。
先週よりも多く練習できていたり、演奏を聴いてしっかり言われたことを直してきたら、よく褒めてあげます。
褒める→厳しく指導
これの繰り返しで上達していくと思っています。
SHOKO(しょうこ)ピアノ教室
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犬・タイプ (真面目で親しみやすい先生からの意見) |
当教室では、コンクールに挑戦してみたい、というお子さんには、コンクールの内容や普段の練習方法、保護者のサポート方法について説明の上、取り組むからには一番高い目標設定で、全力をつくしていただきます。
まず、いつまでに譜読み、いつまでに間違えずに通せるようになり、いつまでに人に聞いていただけるくらい、というような大きな目標を立て、次に生徒と一緒に具体的な目標を決めていきます。
できるだけ本番前にはステージリハーサルを入れます。
結果がどうであれ、コンクールを受けることによって成長する、精神面、技術面等のことは、今後の人生においてプラスになることはあってもマイナスになることはほとんどない、ということをしっかりお伝えします。
続けて受けることによって、次への新たな目標設定ができますし、1つの曲を深く掘り下げることによって、演奏がガラリと変わるので、コンクールはお勧めです。
yumi-music-school
まずは、参加する本人の気持ちを尊重することが大事だと思います。
親の気持ちも、どういうことを望んでいるか、日頃からコミュニケーションをとって、知っておくことが大切です。
指導者も、楽曲に真剣に向き合い、子供だからといって妥協せず、仕上がりの目標、理想を高く持って、わかりやすく指導することが大事だと思います。
誉めてあげて、自信をなくさないようにして、結果がうまくいかなくても、がんばりに誉めてあげて、次につなげて行きたいと思います。
コンクールがすべてではないので、地道に努力する大切さを指導者自身の考え方が通じるといいと思います。
やまもとピアノ教室
山本理紗
それぞれの生徒さんの意欲やレベルに応じて対応は異なりますが、共通している点としては
まず最初にコンクールの日程から現在までの日数を確認し、ゴールから逆算した上で、その過程に細かい目標をいくつか設定していきます。
コンクールの結果だけを目標に設定してしまうと、どうしてもプレッシャーが大きくなってしまいがちです。
ですが、都度「この日までに暗譜しよう」「次のレッスンまでにはここをもっとよくしよう」など細かい目標をつくり達成していくことができれば、生徒さんの心理的な負担も少なく、かつ小さな成功体験を繰り返していくことで自信がついていきます。
当教室では、コンクールや発表会の前などに、「れんしゅうがんばり表」を用意して、苦手な箇所などを宿題として重点的に練習してもらうようにしています。
練習した日にちを表に記入してもらい、達成できたらシールを貼ってもらうのですが、普段のレッスンでは使用しない絵柄やキラキラしたシールを使用するので、生徒さんたちにもとても好評です。
こうした小さな達成感や喜びを感じてもらいながら、楽しく練習に取り組んでもらうことが大切だと思います。
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クマ・タイプ (母性的、甘えさせてくれそうな先生の立場からの意見) |
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シマウマ・タイプ (優雅さと優美さをもって指導したいと考える先生の意見) |
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キリン・タイプ (のんびりした先生からの意見) |
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馬・タイプ (活動的で、パワーを与えてくれそうな先生からの意見) |
生徒や保護者の意欲、目標、家庭の方針などは様々なので、各々に合わせたコンクールを選んで出場させています。
例えば、親子とも意欲的な所は、
三年先のその子の姿を目標に、と、説明し、レベル的に高いコンクールを年3、4回は受けてもらいます。
逆に、普段の練習曲でさえ遅々として進まない生徒は、それなりのレベルのコンクールに年一回程度出し、一曲を集中的に仕上げています。
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羊・タイプ (平和的でおとなしめの先生の意見) |
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ライオン・タイプ ( 権威的、きびしい先生の立場からの意見) |
私は現在色々なピアノコンクールの審査員をやっています。
コンクールと言っても参加者全員が賞が貰えるモノから、自由曲でできるモノ、課題曲の有るもの、予選、本選、全国、海外派遣と、プロのピアニストを目指すモノまでレベルの違いはそのままハードルの高さになります。
「コンクールに出たい!」と生徒本人が言う場合は、自分自身の力を試したい…と言う気持ちがあります。
また、「コンクールにチャレンジさせたい!」と、親が言う場合は、目標があればやる気のモチベーションが上がると考えている場合も有りますが、どのくらいのレベルか知りたいと言う気持ちも含まれています。
そして、先生が自分の生徒にコンクールを勧める場合は、その子自身が熱心に勉強していて、コンクールを経験する事でさらに成長が期待出来る時です。
ちなみに、私が生徒にコンクールを勧める場合は、「たとえ本番で上手く出来ず、泣くほど苦しく悔しい辛い思いをする事になっても、そのコンクールで得るものの方が大きい」と確信している時です。
コンクールは発表会とは違ってジャッジ(審査)されます。
それは指導力も問われます。
コンクールは生徒本人の力だけではなく、先生、家族の協力も必要です。
コンクールを経験する事で得られるのは、理想を求める高い意志、計画性、実行力、実現力、忍耐力等、強い精神力を形成させてくれます。
これは人が生きていく上で大変重要な人間力、生きる力です。