ピアノ初心者が挫折を避け、確実に上達へ ~7つの考え方~

目次

1.楽譜の読み方の基本
1-1.楽譜は超基本だけでよい
1-2.楽譜の読み方は、曲に合わせて少しずつ

2. 弾き方の超基本と練習方法
2-1.座る位置、手の形
2-2.練習方法

3.ピアノ上達への道筋
3-1.最終的にどうなりたいのかイメージする
3-2.無理のない計画で
3-3. 発表の場をうまく利用する
3-4.楽しさと厳しさと

4.よくあるピアノ上達法のウソ
4-1.ピアノは本当にかんたんな楽器?
4-2.正確に弾くことや楽譜の理解は本当に必要?
4-3.独学は本当に成功する?

5.初心者が挫折しないための7つの考え方
5-1.初心者には挫折しない考え方こそ重要
5-2.学習の大原則を知り、欲望を働かせる
5-3.他人と比較せず、がんばりすぎない
5-4.好きな曲を大切に、本質をつかんで楽をする
5-5夢をもつ





はじめに

魅惑的なピアノの世界に取りつかれ、ワクワクしている初心者の方にとって、厳しい事実があります。

・昔習っていても、大人の今はほとんど弾けない
・大人からピアノを始めた初心者の3割は、3年以内に挫折する


あなたには、途中で挫折することなく、本当の意味でピアノの醍醐味を味わっていただきたい。そのために最初にこのことを伝えたかったのです。ここでは、私自身と多くのピアノ講師の方々の経験を踏まえ、そのための考え方とコツをお伝えしていきます。





1.楽譜の読み方の基本

1-1.楽譜は超基本だけでよい

最初からあれこれたくさん覚えようとせず、まずは、五線譜上の以下の位置をしっかり覚えます。

・ドの位置(ト音記号)
・左手のドの位置(ヘ音記号)


そこから、次に高いほうのドの位置を覚えます。こうやって、自分の覚えやすい位置を一つずつ確実に増やしていくのがコツです。





1-2.楽譜の読み方は、曲に合わせて少しずつ

その後は、一曲をよく練習することで、パターンとして音の位置が記憶にしっかり定着します。シャープ(♯)、フラット(♭)の意味などもわかってきます。そうやって、少しずつ覚えていくほうがじつは無理がありません。





2. 弾き方の超基本と練習方法

2-1.座る位置、手の形

椅子の位置は、肘を使って右、左へ十分に動かせるスペースを確保します。肘は、胴体よりやや前の位置。椅子の高さは、腕が水平になる高さに。椅子には浅く腰掛け、重心はやや前です。

手の形は、腕を前方に出し、手首から指先の力を抜いてダラっとします。そのまま鍵盤においた形です。横から見ると、指先から手首までが、楕円形の1/4の形になります。





2-2.練習方法

いきなり練習曲ではなく、まずは、弾いてみたい曲で、難易度の高くないものを一曲選びます。それを通して少しずつテクニックを身につけていくことが重要です。

それによって基礎的な楽譜や音楽用語の知識も身につけていきます。それを補う補助教材として、自分に合った練習曲などを無理せず使用します。





3.ピアノ上達への道筋

3-1.最終的にどうなりたいのかイメージする

人は頭の中でつくる最終イメージに向かって生きていくと言われています。あなたの最終イメージは、友人たちに聴かせるちょっとしたミニコンサート?或いは彼女へのサプライズ演奏?その最終イメージが、ピアノ上達へ強力に誘導してくれます。




3-2.無理のない計画で

最初からがんばり過ぎて、あれもこれも欲張りすぎると、
必ず途中で息切れを起こします。例えば、ピアノ発表会をゴールにして3つに区切ってみます。

1)弾く楽曲の読譜と基礎テクニックをつける
2)弾く楽曲の表現力を磨く
3)本番に向けたモチベーションの保ち方や予行演習


漠然とやっていると効率が悪いので、このように整理します。





3-3. 発表の場をうまく利用する

発表会は、参加することによって確実に上達します。例えば発表会を一年後のゴールに設定し、その時に演奏する曲を最初から自分の課題曲とします。もし本番で何とか弾ききることができれば、何より自信がつき、次につながるのです。

発表の場やイベントは、インターネット上のサークルなど様々あります。どうしても上達したいのであれば、積極的な参加がお勧めです。





3-4.楽しさと厳しさと

まったくの初心者が、ピアノを両手である程度弾けるようになるまでには苦労が伴います。厳しい練習だけをずっと我慢してやり続けることはできません。楽しさを取り入れることも、上達するためにはとても大切です。

もしあなたが、3年後には自分に合った曲をレパートリーとして一曲持ちたいのであれば、楽しさの配分は多めでだいじょうぶです。





4.よくあるピアノ上達法のウソ

4-1.ピアノは本当にかんたんな楽器?

「ピアノは、鍵盤を押せばすぐ音がでる。難しくない」ネット上では、こんな甘い言葉が踊っていますが、あなたも本当にそう思いますか? 初心者の方なら、両手を同時にしかも別々に動かすこと自体、けっこう難しいと感じるはずです。

ピアノは魅力的で、誰にでも演奏の可能性が開かれていますが、音楽を奏でるには乗り越えるべき壁もあります。もちろん必要以上に難しいと身構える必要もありませんが、ある程度心構えは持っておいたほうが賢明です。





4-2.正確に弾くことや楽譜の理解は本当に必要?

最初から、楽譜の読み方や弾き方を正確にキチンとやろうとしすぎて、なかなか前に進まない・・・。そのイライラと疲れがマイナスに働き、モチベーションを奪っていきます。

最初は好きに気持ちよく弾いてしまうのも手です。そうすれば、欲求は満たされ、続けていくためのモチベーションになります。欠点や粗さは、遅かれ早かれ気づくものです。その気になる部分だけを、正確に何度も練習する。そんなやり方も、初心者にとっては有効なのです。





4-3.独学は本当に成功する?

まったくの初心者が独学で成功している事例は、実はとても少ないです。独学である程度うまくいく可能性の高い方は、以下のような方です。

・昔少しでもピアノを習った経験があり、ある程度楽譜が読める
・周辺に奥さんやお友達などサポートしてくれる人がいる。


まったくの初心者が、仮にある程度弾けるようになったとしても、酷い弾き方がクセとなり、そこから伸び悩むこともあります。ピアノ指導者に習う選択肢もあるので、必ずしも独学だけにこだわる必要はありません。





5.初心者が挫折しないための7つの考え方

5-1.初心者には挫折しない考え方こそ重要

初心者がピアノを続けていくにあたって大切なことは、理想的な先生、良いピアノ、効果的な教材? どれも大切ですが、あえてあなたにはこう言いたいと思います。

挫折しない考え方を知ること

必ず訪れる壁について、自分自身で悩み、解決しなければいけないことも多いからです。





5-2.学習の大原則を知り、欲望を働かせる

まず以下の学習の大原則を知ってください。

2: 好奇心、有能さを求める気持ち

好奇心とは、例えば、ピアノはメロディーと和音を使うけど、どんなふうに構成されてるのだろう?どうして、弾き方で音色が変わるのだろう?といったこと。

有能さを求める気持ちとは、ピアノがもし弾けるようになったら、友だちからすごいと言われて、達成感を味わえるだろうなあ、といったものです。

そして、次に以下の心理学の大原則も重要です。

3: 欲望を働かせる

たとえば、大人の男性の場合、ピアノが弾けるようになって女性にモテたい、あるいはご年配の方であれば、孫や友人に聴かせてすごいと言ってもらいたいなど。目標を自分の欲望と結びつけます。この場合も、十分に学習効果があることがわかっています。恥ずかしがらずに、あなたの本当の欲望に忠実になってみてくださいね。





5-3.他人と比較せず、がんばりすぎない

3: 他人と比較しない

日本人は、いつもみんなと同じかどうか周りを気にする傾向があります。でも、必要以上に他人と比べるのは良くありません。人それぞれ、能力や進度に違いがあるのは当然だからです。

まずは、自分自身を信じること。しだいに、技術力や表現力がついてきて、演奏は良くなっていくものですから。

4: まじめに、がんばりすぎない

「歯を食いしばって、がんばる」という言い方があります。嫌なことを我慢して、無理をしてやる、というニュアンスを含む言葉です。がんばりすぎるとは、イヤなことを無理してやっている状態なのです。

練習がつらいと感じたときは、無理して続けないことです。気晴らしに、好きなピアノ音楽をいっぱい聴いてみます。そうやって、自然にやりたいと思える気持ちを持続させることのほうが大切です。





5-4.好きな曲を大切に、本質をつかんで楽をする

5: 本質をつかんで楽をする

本質をつかんで上で練習に取り組むと、楽ができます。例えば、今弾いている曲で、どうしてもつまずいてしまう箇所がある。そこを克服するのに役立つような曲を練習曲の中からピックアップする。けっして、練習曲すべてをやらない。こんな使い方ができれば、練習もずいぶん効率的になります。本質を見極めて、より効率的な方法を取るべきです。

6: 好きな曲を大切に

あなたは、何をきっかけにピアノを始められたのでしょうか?ある名曲に心奪われたからかもしれませんね。その純粋な気持を生涯忘れずに持ち続けることが、続けていくためにはとても大切です。

心理学では、以下の有名な研究があります。

・自分が気持ちが良いと感じる行為を続けていると、その行為自体が強化される

例えば悪いですが、お酒を飲み続けることで、アルコール中毒になってしまうようなことです。これから、あなたが大好きな曲を中毒になるくらい弾き続けてください。まだ弾けないからと謙遜する必要はまったくありません。





5-5夢をもつ

7: 夢をもつ

夢をもってください。

「人は結局、思ったとおりの自分になる」

文豪ゲーテの言葉です。

心理学的では、その思いが潜在意識に深く刻み込まれ、知らず知らずのうちに、ふだんの行動がそれを実現するよう動いていくと説明されます。

あなたは、もしピアノが弾けたとしたら、将来何がしてみたいでしょうか? ああなりたいと強く思ったり、イメージすると、だんだんそれに近づいていくものです。

あなたには、何も歴史に残る偉大なピアニストを目指そう!と言っているわけではありません。もっと素朴で、ささやかな夢で良いのです。夢を必ずもって進んでください。