ピアノ練習 これだけ! ~最小限で確実に身につく初心者のための練習法~

目次

1. 初心者の間違ったピアノ練習法

2.これだけピアノ練習法のエッセンス


3. 裏テク・ピアノ練習法

4. バランスが大事 (まとめ)





1.初心者の間違ったピアノ練習法

弾きたい曲ばかり弾ている

ピアノ初心者で大人から始めた方は、大好きなあの曲が弾きたいからピアノを始めたのではないでしょうか。まず感動から出発し、ピアノに親しんでいくのはとて自然で良いことです。ただ、そのために、ついついふだんの練習でも弾きたい曲を弾くことばかりに熱中してしまいがちではないでしょうか?

残念ながら、それだとピアノを上達させることは難しくなります。あなたが思うように、自在にピアノを操り、人を感動させるためには、ピアノ演奏表現力を高めるための練習が必要になります。


部分練習をしていない

初心者は、一曲を通して弾くことが、ピアノ練習だとおもっていることが多いものです。あなたは、いかがでしょうか?それはわかっているけど、やめられない・・・。そんな方もいらっしゃるかもしれません。

一曲の中で、弾きにくいところやいつも間違えてるところは、だいたい決まっているものです。ですから、弾けるところを何度も弾くより、苦手なところだけを集中的に部分練習したほうが効率がよいのです。




2. これだけピアノ練習法のエッセンス

基本練習


基本練習とは、右手で音階や左手で伴奏音型を繰り返し弾いて、どんな曲でも安定的に弾くために大切になるものです。

そのような練習曲集として有名なのが、「ハノン」「ツェルニー」といったものです。こういった練習曲集で、それぞれのレベルに合った内容を選んで、基本練習に取り組みます。とても地道ですが、こういった基礎練習をおろそかにはできません。

ピアノを弾く前に、最低10分程度はこのような練習曲を弾いてトレーニングしましょう。


できないところの部分練習、反復練習

これについてはさきほども少し触れましたが、弾けないところの部分練習、反復練習を行うと効率的でムダがありません。どうしてそこが弾けないのか、繰り返し弾きながら、冷静に観察してみましょう。

その原因には、いろいろ考えられます。

・手首がフラフラして安定していない
・指くぐりをしたときに、くぐらせる指が他の鍵盤に当たってしまう
・弾きにくい音型で、慣れていない

まずはゆっくり弾いてみて、その原因をつかみます。それを取り除くように、ゆっくり繰り返し弾く練習をします。


バラバラ練習(片手ずつ)

初心者は、ピアノをいきなり両手から弾き始めてしまいがちです。あわててはいけません。両手で別々の動作をすること自体、初心者にはとてもむずかしいことなのです。難しいことをいきなり初めて、それを何回やったところで上手になるはずがありません。いきなり跳び箱の10段を跳べるわけがありませんから、最初は2段、3段から始めるのがふつうですよね。

あせらず、片手ずつ練習します。それぞれの手がしっかり音の動きを覚えるようになれば、自然と両手でも弾けるようになっていきます。


メトロノームを活かす

よく考えてみてください。ピアノを一人で弾くということは、メロディーや和音だけでなく、リズムも自分でつくり、コントロールしなければいけないのです。これは、案外たいへんなことで、なかなか一定のリズムをキープして弾くことはできないものです。ちょっと難しかったり、弾きにくい箇所になると、とたんにリズムが崩れたりしませんか?  悪いことに、初心者は特にピアノを弾くことに精一杯のため、自がどんな音やリズムで弾いているのか意外と聴いていないものです。

そこで、メトロノームの登場です。これを使って練習することで、リズムに乗ってピアノを弾く練習になります。そして、どこで自分はリズムに乗れていないのか、知ることができるのです。

注意点をひとつ。最初は、ゆっくりのテンポからはじめてください。そして、少しずつ早くしていきましょう。


自分の練習曲を聴く(録音)

上の「メトロノームを活かす」の項で、自分の奏でる音やリズムを、初心者は意外と聴いていないものだとお伝えしました。しかし、自分の奏でる音や抑揚、強弱、リズムがどのようになっているのかしっかり聴いて理解することは、聞き手に上手な演奏だねと言ってもらうためには、とても重要です。

そこで、自分の奏でる練習曲を、たまに録音するようにします。そうすることで、リズムはきちんとキープできているか、どこの箇所で演奏がたどたどしくなるのか、といった自分が弾いているときには気づけなかった気になる点を発見することができます。

このように自分の演奏を客観的に理解することはとても大切なことなので、より上手な演奏になるよう実践してみてください。




3.裏テク・ピアノ練習法

大好きな曲を弾く

さて、ここからはちょっとした裏テクです。ちょっとしたといっても、意識してたまに使うと効果的ですから、よく覚えていただければと思います。

まず「大好きな曲を弾く」です。これをたまに取り入れます。なぜかというと、あなたが大好きな曲を弾くことで、ピアノて本当にすばらしいと心から思える体験ができるからです。これが、練習に耐えて、もっと上手になろうというモチベーションをアップさせてくれるというわけです。

まだまだ初心者のうちから、大好きな曲がさらっと弾けるわけはありません。けっして上手に弾かなくてもよいのです。そのときは、細かい間違いなど気にせず、ただただ楽しんでください。味わってください。それで、十分なのです。


先生の応援

これを見ていただいているピアノ学習者の中には、独学の方お多いと思います。そういった方は、自分ですべてできるとおもっていらっしゃるでしょうし、その気概はとても尊いものです。

ただ、やはり自分だけで進めていると、どうしても変な弾き方の癖で弾いていたり、自分の欠点を気づかないまま練習や演奏をすることになりかねません。そして、どうして自分はうまく弾けないのだろう・・・と一人で漠然と悩むことにもなります。

ですから、毎週でなくても、時々はピアノの先生やしっかり弾ける方に見てもらうとよいでしょう。客観的なアドバイスをもらうことができます。たとえちょっとしたアドバイスであっても、迷路にはまり込んでいた自分に、光の道を与えてくれるかもしれません。それによって、一気に練習がしやすくなったり、スランプから抜け出すことができることがあります。それほど、先達者の視点や意見は価値あるものなのです。


イメージトレーニング

いつもたどたどしく練習をしていたり、繰り返し部分練習ばかりをしていると、なんだか自分はこの曲をどんなイメージで弾きたいのだろう、とふとわからなくなることがあります。たまに一曲を通して弾こうとしても、どんなふうに弾けばよいのか、ピンとこないのです。

そんなときは、その曲の他者の演奏をいろいろ聴いてみます。そのときに、最初の導入は、盛り上がりの部分をどのようなイメージで弾いているのかというように、大きな流れをつかむようにします。ついでに、それを余裕をもってベストで弾いている自分の演奏や姿もイメージします。

それを思い出しながら、たまに一曲を通して弾いてみるのです。局所、部分に囚われすぎているなとおもったら、ぜひ試してみてください。きっと演奏に良い変化が現れるはずです。




4.バランスが大事 (まとめ)

冒頭で、「弾きたい曲ばかり弾いていないで、部分練習をしっかりしましょう」とお伝えしました。それにもかかわらず、その後の裏テクでは、「大好きな曲を弾いてみよう」ともお伝えしています。

何を矛盾していることを言っているのだろう、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。矛盾といえば矛盾ですが、お伝えしたいことが混乱しているわけではありません。

つまり、こういうことです。「どちらかが絶対に良い方法だということではなく、相反するものも上手に組み合わせてバランスをとりましょう」

テクニックの向上を目指し、部分練習だけをしていると、全体の流れのイメージを見失ったっリ、ピアノを弾く楽しさを感じられなくなり、モチベーションが下がってしまいがちです。

かといって、好きな曲ばかりを弾いて、基礎練習、苦手な箇所の部分練習、反復練習を怠っていると、気持ちは高ぶっているかもしれませんが、演奏表現のテクニックがなかなか身につかないままになってしまいます。

つまり、その両者のバランスなのです。演奏テクニックを身につけるための栄養。そして、ピアノが好きだという気持ちを維持することや叙情性が豊かに立ち現れるための表現をするための栄養。この2つの栄養を、うまく配分して取り入れてあげることがキモなのです。

どうも気持ちがいつも高ぶっている割には、演奏技術が追いついてないと感じている方には、部分練習などの基礎練習多めのメニューを。反対に、まじめな性格から部分練習、基礎練習が多めで、ピアノの楽しさから心が離れそうになっている方は、好きな曲を弾いたり、イメージする時間を多めに。

ピアノの練習の極意とは、そうやって両者をうまく配分してテクニックと心の両面をいつも満たし、磨いてあげることだと言えます。




ピアノ教室.net 編集部