毎日のピアノ練習時間ってどれくらいがベスト?
■今回のメルマガ執筆者 13年7月
『ピアノ教室Anjelo』
堤 [福岡県福岡市]
こんにちは。『ピアノ教室Anjelo』 堤です。 「毎日のピアノ練習時間ってどれくらいがベストですか?」 このような質問をいただくことがよくありますが、練習時間は年齢や性格、目標や曲目によって異なります。 一日中外で走り回っている活発なお子様にとっては、毎日30分の練習は苦痛かもしれませんが、コンクールを控えている学生さんには一日30分の練習は短いかもしれません。 |
私がオススメする練習方法は、
『練習時間』を决めて練習するのではなく、 『練習目標』を决めて練習することです。
例えば・・・
ピアノの練習よりも、外でビッショリ汗をかきながら走りまわっていたい子。うちのお教室にもおりました・ ・・
じっとしていられなくて、一曲弾いてはピアノの下にもぐったり、教室の物を見物しに旅に出るお子様が・・・
「あら!いない!」と思ったら「先生、ぼくど~こだ」と、かくれんぼを始める子もおりました。
そんなお子様には、毎日30分の練習は苦痛かもしれません。
でも「今日はここまでを覚えられたら終わり」「この部分がメトロノームに合うようになるまで」と言う練習方法なら、目標を持って効率良く練習出来ます。
『練習時間』に縛られ、それがプレッシャーとなってピアノ練習から遠のいてしまうのは、とても残念です。そういう方は『練習目標』を決めて、実践なさってみてください。
『練習目標』について、もう少しつけ加えます。
目標といっても、あまりに漠然とした大きな目標だけを持つのは、よくありません。
それと同時に小さく具体的な目標も持つほうが、達成率は高くなるのです。
例えば英語の試験対策に例えますと・・・
(1) 「1ヶ月の試験勉強で、100点をとる。」
↓
そのためには、
(2)「10日間で、まず試験範囲の英語の教科書を勉強する。次の10日で、文法の教 科書の問題を解く。最後の10日で総復習をする。」
↓
そのためには、
(3) 「1日目は、英語の教科書のレッスン1について、音読とリスニング、書き写しを1回ずつ行う。2日目は、レッスン2について、同様に行う。3日目は、レッスン3について・・・」
上の例では、上から下にいくに連れて、大きな目標から小さな具体的な目標に変わっています。
このように、大きな目標を達成したいなら、その目標をより小さく分割し、より具体的にしていくことがポイントです。
では、ピアノではどういう流れになるでしょうか。
ピアノは英語の試験勉強とは違い、すべて点数化できるものではありません。でも、基本的には同じように考えることができます。
例えば、次のような目標を、先生といっしょに立てたとしましょう。
(1)「3ヶ月で発表会の曲を完成させる」
↓
そのためには、
(2) 「まずは、1ヶ月でフレーズを感じながら 弾けるようにする」
↓
そのためには、
(3) 「15日間で暗譜する」
↓
そのためには、
(4) 「1日目は、○小節(1フレーズ)の右手・左手・両手練習とメトロノーム練習。2日目は、1日目の復習と次の○小節を同じように。3日目はそこまでの復習と次の○小節を練習。できるだけ楽譜を見ないで弾いてみる。4日目、5日目・・・と暗譜して弾ける部分を増やしていく」
地道な練習ですが、少しステップアップした曲に挑戦するときなどは、終止線までたどり着くように何度も弾くよりも、小さな目標を立てて練習することで、練習意欲を保ちながら練習することができます。
ただ、ここで一つ注意しなければいけないことがあります。
例えば、「この曲を3回弾けば よし!」といった作業的な目標を決めてしまうと、あくまで手段としての目標にもかかわらず、それそのものが目的になってしまいがち・・・
つまり「とにかく、3回弾けばいいや!」と安易に考えてしまいます。そうなると、「3回弾く」こと自体が目的になってしまい、本当に達成しなければならない大きな目的を見失ってしまうのです。
「3回弾く」ことを通して、その曲の「おもしろいリズム感や軽やかなフレーズ感」を習得し、味わってもらったり、「鍵盤を深くタッチする技術」を身につけることが本当の目的だとします。
でも、そうやって練習目標を安易に考えることで、いちばん大切で大きな目的を達成できない、といったことになります。
これでは、何のための『練習目標』なのか、わからなくなってしまいますね。
一曲を自分のものとして習得するとき、そこには必ず全体を通して学ぶべき技術や音楽的感覚、表現があります。
モーツアルトにはモーツアルトの、ショパンにはショパン独特の感性、雰囲気、そしてテクニックがあります。
ベートーヴェンの音楽には、まるでゴシック建築の大聖堂のように力強い美しさと知性が備わっています。
そういった全体に流れている音楽的生命や骨組みを、頭と心、そして全身を通して深く学ぶところに、ピアノ音楽を学ぶ本当の意義があると思うのです。
ですから、本来の目的を忘れないようにしながら、『練習目標』を設定していくことが大切です。
とくに、小さなお子さんなら、なおさらですね。
ぜひ、ご自身に合った無理のない『練習目標』をクリアし、充実した練習時間を送っていただきたいと思います。
もしお子様をもつご両親で、お子様が「ピアノの練習に前向きになれていないのでは・・」と思われるのであれば、試しに今日から練習時間ではなく、具体的に『練習目標』を決めて、小さな目標を達成するための練習に変えられてはいかがでしょうか。
もちろんその時に、お子様の練習におざなりな態度が見えたら、要注意です。
たとえ短い部分練習でも、大きな目的を意識しながらやっているか、どんな技術を身につけるために弾いているのかなど、本人に確認してみるのもよいと思います。
「そこは、先生にどんなふうに練習しなさいって言われたの?」
そんな一言から、お子様とコミュニケーションをとってみられるとよいと思います。
それをきっかけに、ピアノの先生から言われて忘れていたことを、本人が思い出すかもしれませんから。(*^^*)
『ピアノ教室Anjelo』
[福岡県福岡市]
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