大人ピアノ初心者の方へ やさしいフレーズを侮るなかれ!
■今回のメルマガ執筆者 13年12月
『あずまピアノ教室』
東 [神奈川県 横浜市 神奈川区]
大人、それも熟年になってからピアノをゼロから始められる方がいらっしゃいます。
60代の男性Kさんが入会されて、先日初めてのレッスンでした。少し緊張気味ながらもにこやかにレッスン室に入られ、自己紹介をされました。 小学生の頃、音楽の先生に「K君は音痴だ。」と言われて、音楽が嫌いになったそうです。 |
でも、その後「そんなことはないのでは?」と思うようになり、年月を経て、ピアノ教室に来て下さったのです。
目標は「10年後にピアノで”運命”を弾くこと」
「速くうまくなりたいとは思わない。じっくり取り組んで、感覚として身につくようになりたい。」
とのことです。いいですね!
レッスンが始まり、短いフレーズをいくつか弾いて頂くと、
「ピアノは音がいいですね!」と。
ご自宅は電子ピアノだそうです。
簡単に音符のことなど説明すると、喜んで聞いて下さり、質問をされます。
「ピアノは楽しいですね。」と言いながら、レッスンが続きました。
私は、この生徒さんの喜ぶ様子を見ていて、ふと私自身が子供の頃にピアノを習い始めた時の喜びを思い出だしていました。
Kさんは、レッスンが終わると、
「休みの日には、がーっと練習しますよ。」とはりきっていました。
「がーっと練習するのもいいですけど、毎日少しずつ練習するのはもっと効果がありますよ。」
「なるほど! 毎日少しずつ練習しますよ。」
生徒さんのピアノへの憧れ、熱い気持ちには、講師である私にも、ピアノを愛する者として強く心を動かされます。
一見やさしそうなフレーズに潜む罠
さて、前置きが長くなりましたが、大人からピアノを始めた初期の段階で、それも楽しさと熱気に満ち溢れて始めた方にありがちな落とし穴があります。
ここでも少し触れましたが、ついついはりきりすぎて、一度に練習を詰め込みすぎてしまうのも、その落とし穴の一つです。やはり、少しずつでもいいので、できるだけ毎日継続して練習をしたほうがいいのは、言うまでもありませんね。
今日は、そういった落とし穴の中で、とても重要なんだけど、ついつい見落とされがちなそれについて、一つお話したいと思います。
一見簡単そうで、どこにそんな罠があるの?と思えそうなことです。ところがどっこい、この落とし穴に多くの熱血大人ピアノ初心者が陥ってしまうのです・・・
先日、男性で40代の生徒さん(初心者とはいえ、過去に10年くらいピアノ経験があり、楽譜は何とか読める)のレッスンをしているときも、まさにそのような落とし穴に陥っていたのです。
どういうことなのか、お話いたしましょう。
曲を演奏するとき、楽譜のとおりただ弾くだけで、複雑な指使いもなく、特に難しいところではないけれど、でも弾きにくいということがあります。
要するに、一見するとそのフレーズは、すごくかんたんに弾けそうに見える・・・
だから、何も考えずにすっと流して弾いてしまう。
じつはここに、落とし穴が潜んでいるのです。
大人のピアノ初心者は、パッと見てかんたんな曲、やさしいフレーズに出会うと、どの音も同じ重さ、同じタッチで弾こうとします。
すると、フレーズ全体で、力を抜くところがなく、指の動きが全体的に悪くなります。弾いてはいるけれど、弾きにくそうに見えるのです。そして、けっして上手には聴こえない・・・
やさしいフレーズをカッコよく弾く!
例えば「みつばちマーチ」と言えば、多くの人がメロディーが頭に浮かぶでしょうか?
この曲は、「こいぬのマーチ」という曲名でも知られていたかと思います。
上の譜例をご覧ください。
「ミドミド ミソソー」で始まります。
これを、一音ずつ、すべてに同じ重さをかけて弾いてみてください。
次に、3つのミと、最後のソーに重さをかけ、他の音には重さをかけないように、つまり、ひとつおきの2つのドと最初のソは軽くて、もう一度弾いてみてください。(譜例ではアクセントの記号が上についている音符に重みをかけます)
いかがでしょう。
ピアノが近くにある方は、ぜひご自身で弾いてみてください。違いを感じとれるでしょうか?
聴こえ方は、重さをかけると大きく、軽く弾くと小さくなります。
このほうが弾きやすく、しかもかっこ良く聴こえるはずです。
さきほどの男性で40代の生徒さんですが、まさにこれとは反対、つまり一音ずつ同じ重さをかけて弾くという、なんともかっこ悪い弾き方をしていたのです。
ここで、「みつばちマーチ」を例に、良い弾き方(重さと軽さのある弾き方)、それから悪い弾き方(全部重い弾き方)の動画をご紹介しましょう。
執筆者であるわたくしが弾いていますが、実際の指の動きと音で、理解を深めてくださいね。
<動画:良い弾き方の例>
<動画:悪い弾き方の例>
フレーズの弾き方の大原則を覚えておこう
さて、ここで取り上げた「みつばちマーチ」以外にも、当然あなたはこれからたくさんのすてきな、一見するとやさしい楽曲に出会うことでしょう。では、さまざまな楽曲に出会う中で、大人のピアノ初心者が、このような重さのかけ方の問題にこれからつまづかないためには、どのような点に注意すればよいでしょうか。
そのためには、ちょっとした決まりごと、法則を覚えておくと、とても役に立ちます。
まず一つの小節ごとに、音符をとらえてみます。(小節とは、横に並んだ音符を縦の線で区切っているそれぞれのかたまりを指します。)
次に、ひとつの小節の中に1,2,3,4と同じ長さの音が並んでいたら(「みつばちマーチ」の例:ミドミド)、「重い・軽い・重い・軽い」の順番で、弾いてみてください。
(「みつばちマーチ」の例:ミソソーも、最後が長いけど1,2,3,4と、とってください。)
ただし、1または3にフレーズの終わりの音が来たら、そこは軽くしてください。
フレーズの終わりは、文章のフレーズと同じで、何かを言い終わる感じのところです。 スラーという線がついていて分かることが多いです。
「みつばちマーチ」なら、「ミドミド ミソソー」の次の「ファレレー ミドドー」の「ドー」がフレーズの終わりです。
「ファレレー」で「1,2,3,4」と取り、そして「ミドドー」で「1,2,3,4」の3にドーがきます。
3に来るけどフレーズの終わりなので、少し軽く(小さく)弾くときれいに終わります。
もう一度この点、つまりフレーズの終わりをどう弾いているかに注目して、動画で確認してみましょう。
<動画:良い弾き方の例>
<動画:悪い弾き方の例>
もちろん、大人のピアノ超初心者から、だんだん上達するにしたがって、ここで取り上げた法則以外の法則をつかうこともあります。またこの法則にのっとりながらも、別の大きな観点からフレーズや音楽をとらえることも必要になって、この法則をそのまま曲にあてはめようとするとムリが生ずることもあります。
けれども、ここで取り上げた決まりごとは、応用がきくようになっても変わらず重要です。しっかりおさえてくださいね。
今回は、大人のピアノ初心者が、ついつい見落としがちになる点について、ひとつだけお話いたしました。
今回取り上げた事例のように、一見簡単そうに見えるところにも、大きな落とし穴が潜んでいることがあります。ピアノの先生のアドバイスによく耳を傾けて、簡単そうに見えるところも侮らないように。そして、よく全体の音楽を聞きながら演奏してみてくださいね。
大人のピアノ初心者を指導していると、生徒さんが弾くほんの短いフレーズの中でさえ、その方が人生の中で心を傾けて聴き、育んできた音楽を感じることができます。それは、いわばその方オリジナルの「人生の香りがする音楽の宝箱」といってもよいでしょう。
そんな人生の香りのする音楽を大切にしながら、大人の生徒さんの気持ちに寄り添って、目標に近づけるよう、これからもピアノレッスンをしていきたいとおもっています。
大人初心者のみなさん、がんばれ!
『あずまピアノ教室』
[神奈川県 横浜市 神奈川区]
【教室紹介】
《あずまピアノ教室》
[横浜市神奈川区] こんにちは! あずまピアノ教室です。音楽を聴いて楽しむことはとても素敵なことです。 でも、自分で弾くのは何にも代えがたい喜びではないでしょうか? 大人になって初めてピアノに触れる方、こどもの頃に習ったピアノを再開する方… それぞれの生徒さんのご希望に沿って楽しいレッスンをする、笑顔のあふれる教室です。 無料の体験レッスンを受付中です。ぜひ一度お試しください。 横浜市営地下鉄で「横浜駅」から2分、「三ツ沢下町駅」から徒歩7分です。 お待ちしています。 |
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